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CBT試験・IBT試験はカンニングできる?カンニング防止策をご紹介

入試や資格などの試験でのカンニングのニュースを耳にした方もいるかと思います。
そういったカンニングの中にはインターネットを利用したものもあります。CBTやIBTなど、Web上の試験を実施する側としては不安があるかもしれません。
この記事では、CBT・IBTで考えられるカンニング方法や対策についてまとめます。防止策が充実したおすすめサービスもご紹介するので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。

目次[非表示]

  1. 1.CBT試験・IBT試験とは
  2. 2.CBT試験で行われるカンニング方法
    1. 2.1.①スマホの持ち込み
    2. 2.2.②自前のカンペ(カンニングペーパー)の持ち込み
    3. 2.3.③自身の手や腕にメモを書く
  3. 3.IBT試験で行われるカンニング方法
    1. 3.1.➀なりすまし・替え玉受験による不正行為
    2. 3.2.②ほかのデバイスやメモによるカンニング
    3. 3.3.③試験で使用するデバイスによるカンニング
    4. 3.4.④外部の人物の協力によるカンニング
  4. 4.インターネットを使ったカンニングの実例
    1. 4.1.Webテストの代行業者による替え玉受検
    2. 4.2.共通テストの問題を撮影した画像の流出
    3. 4.3.大学入試の問題を試験中に質問サイトに投稿
    4. 4.4.資格試験で解答例を受験者にメール送信
    5. 4.5.就活生の30%以上が、知人がWebテストで不正と回答
  5. 5.カンニングが発生しやすい試験の特徴
    1. 5.1.合格のメリット・不合格のデメリットが大きい
    2. 5.2.不正が見つかりにくい環境である
    3. 5.3.出題内容が予想しやすい
    4. 5.4.暗記系の問題など解答が決まっている
  6. 6.カンニング防止方法
    1. 6.1.カンニング防止方法➀本人確認
    2. 6.2.カンニング防止方法②会場の環境
    3. 6.3.カンニング防止方法③監視カメラ・試験官
    4. 6.4.カンニング防止方法④試験システム自体の機能
    5. 6.5.カンニング防止方法⑤Webカメラ
  7. 7.CBT試験とカンニングの今後の予想
    1. 7.1.Webカメラ・AIによる監視の一般化
    2. 7.2.デバイスの進化による巧妙化
    3. 7.3.デバイス使用の規制
    4. 7.4.出題形式・実施場所など実施方法の工夫
  8. 8.カンニング対策サービスの最前線
    1. 8.1.AIの精度向上
    2. 8.2.複数カメラによる監視
    3. 8.3.本人認証の導入・精度向上
    4. 8.4.抑止力としての警告機能搭載
  9. 9.イー・コミュニケーションズのカンニング防止への取り組み
    1. 9.1.カンニング防止の取り組み➀MASTER CBT PLUS 搭載機能
      1. 9.1.1.シャッフル・ランダムに対応した出題
    2. 9.2.カンニング防止の取り組み②Remote Testing
      1. 9.2.1.本人認証による替え玉・なりすまし防止
      2. 9.2.2.Webカメラによるリアルタイムの不正監視
      3. 9.2.3.受験中の挙動の録画による不正監視
      4. 9.2.4.監視内容をもとにした合否結果の修正
  10. 10.CBT試験・IBT試験でもカンニングを防止できる


CBT試験・IBT試験とは

はじめに、「CBT」「CBT試験」・「IBT」「IBT試験」という言葉の指し示す内容について確認します。「CBT」とは、「Computer Based Testing」の略称で、コンピューターを利用した試験の総称です。「CBT試験」も同じ意味で使われています。コンピューターのディスプレイに問題が表示され、マウスやキーボードを使って解答します。会場を利用して行う「会場型CBT」を単に「CBT」と呼ぶことも多くあります。
「IBT」は、「Internet Based Testing」の略称で、インターネットを利用した試験の総称です。「IBT試験」も同じ意味で使われています。
CBTのデバイスはコンピュータだけでしたが、IBTはコンピューターのほかタブレットやスマホを試験に利用する場合も含みます。IBTの中にCBTが含まれていると言えます。いずれもインターネットを利用するのが一般的です。

CBTに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。


CBT試験とは?ほかの試験との違いやメリット、導入方法を徹底解説

IBTに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

IBTとは?CBTとの違いやカンニング対策を徹底解説

CBT試験で行われるカンニング方法

ここでは特に会場型のCBT試験で行われる可能性のあるカンニング方法についてまとめます。
具体的には次の3つのケースに分けることができます。
・スマホの持ち込み
・自前のカンペ(カンニングペーパー)の持ち込み
・自身の手や腕にメモを書く
これらの方法は、会場型のCBT試験だけではなく、IBT試験でも行われる可能性があります。
具体的に見ていきましょう。

①スマホの持ち込み

通常は試験室内にスマートフォンを持ち込むことはできませんが、服のポケットや袖に隠して持ち込み、試験官の目を盗んで答えを検索したり、外部と連絡を取る方法があります。

入室前のチェックで試験官に見つかることが多いため、未遂のケースが多いです。

②自前のカンペ(カンニングペーパー)の持ち込み

事前にカンニング内容を小さな紙などに書いておき、持ち込むケースがあります。小さな紙に書いて持ち込む場合もあれば、本人確認として使用する運転免許証や保険証などの裏面に書く場合もあります。

③自身の手や腕にメモを書く

カンニング内容を腕や手のひらに書き、服の袖などで隠すケースがあります。不審な動きをすることから、試験官に見つかるケースが多いです。

IBT試験で行われるカンニング方法

次に、IBTの試験で行われる可能性のあるカンニング方法についてまとめます。カンニング方法は、具体的には次の4つのケースに分けることができます。
・なりすまし・替え玉受験による不正行為
・ほかのデバイスやメモによるカンニング
・同じデバイスによるカンニング
・外部の人物の協力によるカンニング
1つずつ見ていきましょう。

➀なりすまし・替え玉受験による不正行為

まず、なりすましや替え玉の人物による不正・カンニングです。そもそも受験している人物が申し込んだ人物と違う場合です。これは会場型CBT・自宅でのIBTどちらでも起こりうる不正の方法です。またオンラインのCBT・IBTでなくとも、従来の紙を利用した会場型の集団試験でも同じように起こりえます。 実際に発覚してニュースとなっているのを一度は見たことがあるのではないでしょうか。オンラインだと本人確認がやりにくい場合があり、紙を利用した試験よりもなりすまし受験が起こりやすいといえます。

②ほかのデバイスやメモによるカンニング

次に、受験に使うデバイスとは別にほかのデバイスやメモを用意しておき、それを悪用するケースです。CBT・IBTとも多くはコンピューターで受験しますが、コンピューターのほかにスマートフォンなどを使えるようにしておく方法です。 IBTによる自宅受験の場合、Webカメラの死角にほかのデバイスやメモ、付箋などを置いたり貼ったりすることが考えられます。会場型CBT・自宅受験のIBTいずれでも起こりうるカンニング方法ですが、直接監視することができないIBTのほうが発生の可能性が高いです。

③試験で使用するデバイスによるカンニング

試験に使用しているデバイスを使って、試験中に解答に必要な情報を検索したり保存しておいたデータを見たりしてカンニングするパターンもあります。試験のシステムと同時にWebのブラウザを起動させて検索したり、社内試験などで自分のコンピューターを使用する場合にカンニング用のデータを用意しておきそれを見ながら解答するようなケースです。 これは一人で行うケースがほとんどですが、次の④のように協力者がいる場合に試験と同じデバイスを利用してやり取りする可能性もゼロではありません。この方法は会場型CBT・自宅でのIBTいずれでもありえます。

④外部の人物の協力によるカンニング

外部の人物がカンニングに協力する場合もあります。会場型CBT・自宅でのIBTどちらでも起こる可能性があります。 自宅でのIBTでは、インターネットを利用して離れた場所にいる協力者と連絡を取るケースのほか、Webカメラの死角に協力者がいるパターンもあります。またコンピューターを協力者が遠隔操作して、本人は受験しているようなふりをしているだけの場合もあります。これは事実上➀のなりすまし・替え玉受験といえるでしょう。

インターネットを使ったカンニングの実例

CBT・IBTではありませんが、実際にインターネットを使ったカンニングにどのような例があったか実例をご紹介します。次の例についてまとめます。
・Webテストの代行業者による替え玉受検
・共通テストの問題を撮影した画像の流出
・大学入試の問題を試験中に質問サイトに投稿
・資格試験で解答例を受験者にメール送信
ニュースになった実例もいくつかあるので、記憶にあるものもあるかもしれません。
加えて、Webテストに関する興味深いアンケート結果「就活生の30%以上が、知人がWebテストで不正と回答」についてもご紹介します。

Webテストの代行業者による替え玉受検

2022年11月に、企業の採用試験の一環として行われたWebテストで「代行業者」の会社員が学生の替え玉となって受検したとして逮捕されたという事件です。会社員はSNSでWebテスト代行をうたい、就活生になりすまして受検することで報酬を得ていました。半年で約300人の依頼を受けていたとされます。Webテストの代行はそれ以前から横行しているとの指摘がありましたが、摘発は全国初です。
この事件では、逮捕された会社員はのちに裁判で懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決が言い渡されています。
SNSには現在も代行を続けていると思われる他の業者のアカウントが残っています。料金は1件2,000円前後からで、10,000円としているアカウントもあります。個人ではなくグループで活動しているケースもあります。
先にまとめた「IBT試験で行われるカンニング方法」で解説した「なりすまし・替え玉受験による不正行為」に該当します。

共通テストの問題を撮影した画像の流出

2022年1月、大学入学共通テストにおいて試験中に問題用紙の画像が流出したという事件がありました。後日19歳の受験生が警察に出頭し、保護観察処分となっています。受験生は家庭教師紹介サイトに高校2年生として登録。家庭教師を募集し、応じた2人の大学生に「家庭教師としての実力を測りたい」と試験中に問題を撮影して送信。大学生は入試問題とは気づかずに解答を返信していました。不審に思った大学生が大学入試センターに届け出て事件が発覚しました。
紙ベースの試験での事例ですが、先述の「IBT試験で行われるカンニング方法」の「外部の人物の協力によるカンニング」に当たります。
ただし返信した大学生はカンニングだと知らされていなかったため、積極的に協力したものではありません。

大学入試の問題を試験中に質問サイトに投稿

2011年に、京都大学の入学試験中に英語と数学の問題の一部がインターネットの質問サイトに投稿された事件がありました。発覚後の調査で、他の大学の試験中にも同じアカウントから入試問題が投稿されていることが判明。多くの質問には試験時間中に回答がありました。問題を投稿された大学が警察に被害届を提出。捜査の結果いずれも同一の携帯電話からの投稿と判明し、電話を使用していた予備校生が逮捕されました(のちに不処分)。
隠し持っていた携帯電話を使い監督官から見えない状態で問題を入力、投稿していました。数学の記号などは辞書登録してあったといいます。紙ベースの試験での事例ですが、「IBT試験で行われるカンニング方法」中の「外部の人物の協力によるカンニング」に該当する事例です。ただしこちらも試験問題だと伏せられていたため、回答した人は善意によるものでした。

資格試験で解答例を受験者にメール送信

2016年に行われた国家資格「運行管理者」の試験において、スマートフォンを使った不正事件がありました。
試験を途中退出した受験者1人が、試験会場にいる受験者8人に解答をスマートフォンでメール送信。受信した受験者が送信された内容を写して解答するという9人が関わる集団カンニングでした。
1人は試験中に不正が発覚し失格となりましたが、スマートフォンによる不正だったことから試験を実施する公益財団法人が警察に通報。後日集団による不正だったと判明しました。途中失格の1人を除く8人は合格していましたが、資格者証の返納命令が発令されました。紙ベースの試験での事例ですが、前述の「IBT試験で行われるカンニング方法」の「外部の人間の協力によるカンニング」のバリエーションだといえます。

就活生の30%以上が、知人がWebテストで不正と回答

2022年卒業予定の就活生に対して2021年に行われたアンケート(「キャリタス就活2022学生モニター調査結果」)で、Webテストの不正経験について回答者の約30%が「知り合いや友人がやったのを知っている」と回答しています。
また8.4%が「不正の経験がある(自分の受験企業)」、9.3%が「不正の経験がある(友人などの受験企業を手伝った)」と回答し、不正の経験がある就活生も2割近くいます。噂レベルで聞いたことがあるという回答も合わせると、約70%が不正を見聞きしたり自らも関わっているという結果が出ました。Webテストの不正が横行していることが浮き彫りになっています。
先の「IBT試験で行われるカンニング方法」の中のどのパターンもあり得ます。


カンニングが発生しやすい試験の特徴


カンニングが発生しやすい試験の特徴をまとめます。カンニングされるリスクがあるのは一体どのような試験なのでしょうか。以下の特徴が挙げられます。
・合格のメリット・不合格のデメリットが大きい
・不正が見つかりにくい環境である
・出題内容が予想しやすい
・暗記系の問題など解答が決まっている
それぞれについて見ていきましょう。

合格のメリット・不合格のデメリットが大きい

まず、合格した場合のメリットが大きい、あるいは逆に不合格だった場合のデメリットが大きい試験が挙げられます。不正が見つかるリスクがあっても、リスクに見合ったリターンが得られると感じられる試験ではカンニングが起こる可能性が高まります。
具体的には、入社・入学・昇進などの試験が多いといえます。先に挙げた実例も、入社・入学・国家資格と合格した場合のメリットが大きい試験ばかりです。合格したいという気持ちやプレッシャーが強くなりすぎると、精神的に追い詰められてカンニングに走る可能性があります。

不正が見つかりにくい環境である

不正が見つかりにくい環境で行われるテストは、不正の可能性が高まります。資格試験や国家試験でカンニングしようと思ったことがある人を対象にした2022年の調査(「カンニングしたくなる心理や試験環境とは」​​​​​​​全日本情報学習振興協会)があります。この調査では、「試験監督の目が厳しく“なかった”ら大勢の人がカンニングすると思いますか?」の質問に「とてもそう思う」が21.0%、「ある程度そう思う」が48.3%という回答結果が出ています。就職活動におけるWebテストは、その多くがIDとパスワードだけで受検できてしまいます。監視しにくいテストでもあり、不正が多い背景となっています。

出題内容が予想しやすい

出題内容が予想しやすいテストはカンニングが行われやすくなります。カンニングの方法にもよりますが、カンニングペーパーなどを使う場合は準備と試験中の確認がしやすくなるからです。

具体的には、過去問の出題例が多いテストや出題範囲が狭いテストなどが挙げられます。就活のWebテストは同じ問題が出題されることも多く、解答集が学校の中で回って来たりWeb上で購入できたりします。

暗記系の問題など解答が決まっている

暗記系の問題など、解答が決まっている試験内容の場合もカンニングが行われやすくなります。出題内容が予想しやすい場合と同様にカンニングの方法によりますが、カンニングペーパーなどの準備や試験中の確認がしやすくなるからです。記述系や計算問題などは解答がいつも同じとは限りませんが、知識を問う一問一答式などは1つの質問に解答が1つだけです。そのためカンニングの可能性が高まります。

カンニング防止方法


次に、上記のCBT・IBTのカンニングを防止する方法についてまとめます。具体的には次の方法があります。
・本人確認
・会場の環境
・監視カメラ・試験官
・試験システム自体の機能
・Webカメラ
1つずつ具体的に見ていきます。

カンニング防止方法➀本人確認

試験前の対策として、オンラインでも本人確認を行うという方法があります。申し込み時に身分証明書を事前提出することを義務づけたり、その場での提示を行ったりします。照合は受付や試験官による目視のほか、AIを利用する場合もあります。会場型であれば、従来通りの精度の確認を行うことができます。自宅などでのIBTの場合は、試験の内容や厳密さとのバランスはありますが、精度の高い方法を採用しているサービスを選ぶことが必要となります。いずれにしても、本人確認を行うことで替え玉受験の可能性を減らすことができます。会場型CBTはもちろん、自宅でのIBTでも行うことができる方法です。

カンニング防止方法②会場の環境

会場型の試験の場合、会場の環境をカンニングできない状態にする方法もあります。具体的には、受験生同士の距離を空けたりパーテーションで区切るといった方法です。昔から広く行われていますが、効果的だという証明でもあります。物理的にカンニングできない環境を作るという防止策です。会場型のCBTや自社で行うIBTなど、集団で行う試験で実施することができます。

カンニング防止方法③監視カメラ・試験官

会場型の試験の場合、試験会場を監視するという方法があります。監視カメラで監視したり、試験官が巡回したりします。これも古典的ではありますが、確実な方法でもあります。自宅などで行うIBTでも「オンライン・プロクタリング」という試験方法があります。これは遠隔地にいる試験管がマイクとカメラを通してリアルタイムで監視を行い、その状態で試験を実施するものです。一部の資格試験や英語テストなどで導入されています。

カンニング防止方法④試験システム自体の機能

試験で使用するシステム自体に、カンニングを防ぐ機能が実装されている場合もあります。たとえば多くのサービスで導入されているのが、問題をシャッフル・ランダムに出題する機能です。これにより、同じ問題番号への解答が同じ問題・同じ選択肢とは限らないことになります。すなわち、ほかの受験者の解答を盗み見たとしても、それが自分に表示されている問題・選択肢と異なる可能性があり、カンニングする意味がなくなります。さらには発覚のリスクを冒してまでカンニングする意味がなくなり、抑止力としても機能します。そのほか、試験中はほかのアプリケーションの使用を制限する機能が付いているシステムもあります。これにより、Webのブラウザを開いて検索することが不可能になったり、ほかのデータを閲覧することができなくなります。会場型CBT・IBTに共通して提供されている機能です。

カンニング防止方法⑤Webカメラ

コンピューターのWebカメラを使用して挙動を監視できるシステムもあります。これにより、たとえばモニター以外のところを見ていないかどうか、ほかを見ている場合それがどのぐらいの時間続いているかといったことが確認できます。疑わしい挙動のチェックが可能となります。Webカメラでの監視には、リアルタイムでの監視と録画を確認する方法との2つがあります。AIを活用している場合もあります。システムによりますが、会場型CBT・IBTともに提供されている機能です。

CBT試験とカンニングの今後の予想


CBT試験とカンニングの今後の予想についてまとめます。次の事項について解説します。
・Webカメラ・AIによる監視の一般化
・デバイスの進化による巧妙化
・デバイス使用の規制
・出題形式・実施場所など実施方法の工夫
CBT試験においてカンニング方法がどのように変わっていくのか、試験を実施する側としては変化するカンニングにどのようにして対応していくのかについてまとめます。では、以下に1つずつ見ていきます。

Webカメラ・AIによる監視の一般化

まず、カンニングへの対策としてWebカメラやAIによる監視が一般化していくことが予想されます。この記事でもカンニングの実例として挙げた「代行業者」による替え玉受検以降、WebカメラやAIによる監視への関心が急速に高まっています。試験中の監視を強化する方法です。試験中の監視はCBT試験・IBT試験では手薄になりがちな点だったので、Webカメラ・AIによる監視は手っ取り早く抑制効果が得られると考えられます。Webカメラもより広い範囲を確認できる広角カメラや死角をなくす複数カメラの導入などが進んでいます。

デバイスの進化による巧妙化

今後予想されるカンニング方法の変化として、スマートウォッチやスマートグラスによる不正が増えていくことがあります。これらのデバイスはカンニングペーパーやスマートフォンなどより発見しにくく、より巧妙な手段が使われていくと言えます。摘発例などはまだありませんが、SNSでは学校でのテストでの実例が報告されています。スマートフォンで撮影したノートの画像などをスマートウォッチに転送してカンニングするという方法です。スマートデバイスの進化と普及により、今後この手口も増えていくと予想されます。

デバイス使用の規制

上記のようにデバイスが進化しカンニングに悪用される可能性が高まるのに伴い、CBT試験でのデバイス使用が規制されていく可能性があります。紙ベースの試験ではすでに規制されつつあります。
京都大学の入試では、スマートウォッチの普及を受けて持参した時計を試験中に使用することが禁じられています。英検でもスマートウォッチの時計機能以外の使用は禁じられています。国家試験でもスマートウォッチなどについて、通信機能・端末機能・辞書機能を有する機器の使用を禁止するとしています。スマートグラスがさらに普及すれば禁止されることが予想されるなど、ウェアラブル端末自体が試験の場で禁止されていくものと考えられます。紙ベースの試験のこの流れが、CBT試験やIBT試験にも導入される可能性があります。

出題形式・実施場所など実施方法の工夫

すでに多くのCBT試験で導入されていますが、カンニング対策として実施方法を工夫するという方法がますます一般化すると考えられます。工夫は出題形式についての方法と実施場所についての方法とに大きく分けられます。出題形式については、たとえば出題の順序をランダムにすることで、同じ問題番号でも問題内容が異なるようにする方法があります。その結果、会場で他の受験者の解答をカンニングしても必ずしも同じ問題への回答とは限らなくなり、カンニングする意味がなくなります。ほかに考えられる方法は、カンニングしている時間を与えないように試験時間に対して多くの問題数を出題することです。実施場所による対策としては、テストセンターや自社などでの試験実施が挙げられます。監視しやすい環境で試験を実施することで、カンニングを抑止することができます。

カンニング対策サービスの最前線


次に、現在行われている/開発が進んでいる最新のカンニング対策サービスの状況についてまとめます。以下の実例について解説します。
・AIの精度向上
・複数カメラによる監視
・本人認証の導入・精度向上
・抑止力としての警告機能搭載
1つずつ見ていきましょう。

AIの精度向上

不正発見に使われているAIの精度がますます向上してきています。AIは試験前の本人認証、試験中の不審な行為発見、試験後の解析に活用されています。それぞれの段階の精度がより高まっています。監視へのAI活用は、受験者の監視と周囲の監視の両面で進められています。受験者については、視線や手の動作・離席を確認します。周囲の確認では、複数人が映りこんでいないか、周囲に不要なものがないかが見られます。確認の精度が向上し続けており、不正の抑止や発見に役立てられています。

複数カメラによる監視

カメラによる監視も、従来のWebカメラ1台だけでなくWebカメラとスマートフォンのカメラの2台で監視するサービスが誕生しています。Webカメラは不正の発見・抑止に大きな効果がありますが、死角があるのも事実です。複数カメラは死角の問題を解消できます。死角は不正の温床です。複数のカメラを使用することで、Webカメラでは死角となっていた部分も監視できるようになります。精度の高い監視が可能となり、不正の発見はもちろん抑止にも活用することができます。

本人認証の導入・精度向上

替え玉受検やなりすまし受検の防止や発見のため、新たに本人認証を導入したり精度を高めたりしたサービスが登場しています。AIによって替え玉を検知したり、途中で人が入れ替わるのを監視したりすることができるようになっています。監視員による目視とAIによる確認を選択できるシステムもあります。システムによっては本人画像と身分証の撮影で認証とすることも可能です。試験の厳格さなどに応じて自社に適した認証方法を選べるようになりつつあります。

抑止力としての警告機能搭載

監視員がリアルタイムで受験者を監視し、不正と見られる行動を行った受験者に不正警告を行うことができるシステムも出てきています。警告はカンニングの抑止力として有効です。不正の発見も不正の予防も、公正な試験を実施することが目的です。抑止力が働いて不正の数が減ることは、不正を発見することよりも健全な試験が行われている現れだと言えます。

イー・コミュニケーションズのカンニング防止への取り組み

次に、私どもイー・コミュニケーションズのCBT・IBTのカンニング防止への取り組みをご紹介します。イー・コミュニケーションズの場合、CBT・IBTのシステム「MASTER CBT PLUS」に実装されている対応策と、MASTER CBT PLUSと併用する不正防止専用のサービス「Remote Testing」があります。MASTER CBT PLUSの機能・Remote Testingの機能とに分けて、それぞれまとめます。

カンニング防止の取り組み➀MASTER CBT PLUS 搭載機能

「MASTER CBT PLUS」は弊社が提供しているCBT・IBTのサービスです。社内試験などでは自社の会議室などを利用してCBTを行うことができます。また弊社の会場型CBTサービス「J-Testing」の受験端末にもMASTER CBT PLUSが使われています。まずMASTER CBT PLUSに実装されているカンニング対策の機能について紹介します。

シャッフル・ランダムに対応した出題

MASTER CBT PLUSでは、問題をシャッフルしたりランダムにしたりして出題することが可能です。具体的には、プールした100題の問題からランダムに50問出題したり、出題順序や選択肢の表示順序をシャッフルしたりすることができます。このシャッフル・ランダムの機能により、会場でのカンニングを無効化することが可能です。盗み見た解答が同じ問題・同じ選択肢とは限らないからです。知識の定着を測定するような内容で、選択問題が中心となる試験では非常に有効な機能です。

カンニング防止の取り組み②Remote Testing

「Remote Testing」は、オンラインテストに組み合わせて利用できるリモート監視サービスです。自社のスペースや自宅での受験でも、会場型と同等の受験環境を提供することができます。もちろん会場型CBTでもご利用いただけます。次に、Remote Testingに実装されているカンニング対策機能について紹介します。

本人認証による替え玉・なりすまし防止

Remote Testingでは、替え玉・なりすまし防止のため本人認証・本人確認を行うことができます。監視員・AIによる認証のほか、本人画像や身分証明書の撮影による認証にも対応。試験形式に合わせた方法が選択可能です。幅広い層の受験者が集まる資格試験などはもちろん、多数の支社や営業所から面識のない社員が受験するような社内試験でも役立つ機能です。

Webカメラによるリアルタイムの不正監視

Remote Testingでは、コンピューターに装備されたWebカメラを利用して試験中に不正を監視することができます。不正と見られる挙動があった場合は、受験者への不正警告・通知を行います。通知にはスクリーンショットも含まれており「動かぬ証拠」となります。また受験者への警告や監視員がマーキングした内容といった情報を、試験後に管理画面から閲覧することができます。このように、不正に対してリアルタイムで迅速に対応できるほか、試験後に確認することが可能です。

受験中の挙動の録画による不正監視

リアルタイムでの監視のほか、受験中の様子をWebカメラで録画することも可能です。もちろん録画した動画は閲覧・ダウンロードすることができます。そのほか不正の疑いのある場面を取り出し、ストリーミング再生することもできます。また動画をAIエンジンで解析することができます。解析された結果は点数化(不正点数)され、一定の点数以上のものを抽出したり精緻に再度解析を行ったりすることも可能です。日本人・アジア人に適合した挙動検知AIを使用しており、精度も業界随一となっています。これらの機能により、試験後でも疑わしい挙動を確認することができます。さらに疑わしかっただけなのか実際に不正行為だったのかを解析・結論づけることができます。

監視内容をもとにした合否結果の修正

本人認証や受験中の様子を確認・解析した結果不正があった場合は、該当の受験者は試験後に合否の修正を行うことができます。この機能により、不正を行った受験者をそのままにすることなく適切に対処することができます。その結果、試験の正確さと信頼性を保つことが可能となります。

CBT試験・IBT試験でもカンニングを防止できる

これまで見てきたように、CBT試験・IBT試験でもカンニング防止が可能です。多くの機能が実装されているサービスほど安心して利用でき、さらには正確な試験結果を得ることが可能となります。

不正行為のない試験を安心して運用したいとお考えなら、防止策の充実したイー・コミュニケーションズのサービスをぜひご検討ください。ご不明の点やご質問などございましたら、ページ右上の「​​​​​​​お問い合わせ」からお気軽にご連絡ください。

 

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